膝曲げると痛い・・変形性膝関節症かも

膝が痛い

「なんだか最近、階段の上り下りで膝の痛みを感じる」
「久しぶりに正座をしようと思ったら、膝が痛くて足を曲げることができなかった」
このように感じている40代以上の方は、ひょっとして変形性膝関節症を発症しているかもしれません。

変形性膝関節症は、年齢とともに膝の関節でクッションのような役割を担っている軟骨がすり減ることによって生じる、痛みを伴う病気です。
一度すり減ってしまった軟骨を自然に回復させることはできませんので、変形性膝関節症を発症した際は一刻も早い治療が必要になってきます。

膝を曲げると痛い・・原因は?

「朝起きたときに、なんとなく膝が動かしにくい」、「膝が思い通りに動かない」というような違和感を感じたことはあるでしょうか。
膝関節は人の体のなかでも最も大きな関節で、歩くときには体重の約2倍、階段の昇降時には約4倍もの重さを支えてくれていますので、私たちは自由に行動することができます。
膝関節を構成する脛骨(すねの骨)・大腿骨(太ももの骨)・膝蓋骨(膝のお皿)という3つの骨にとってクッションのような役割を担っているのが、軟骨です。
軟骨は加齢や筋肉量の低下によって徐々にすり減ってしまい、次第に関節内の骨と骨の隙間を適度な間隔に維持することができなくなってしまいます。
軟骨の支えを失い、骨同士が直接ぶつかってしまうことによって生じるのが、変形性膝関節症由来の膝の痛みです。

痛みを感じている膝関節部分では軟骨がすり減ってしまっている状態ですが、すり減った軟骨は自然に回復することはありません。
既に軟骨がすり減ってしまった状態でサプリメント等を服用しても、膝の軟骨だけをピンポイントで回復させることはできませんので、正しい医療的なケアが必要になってきます。

膝が痛い時に避けるべき行動?

変形性膝関節症によって膝が痛む際は、膝関節を構成する脛骨(すねの骨)・大腿骨(太ももの骨)・膝蓋骨(膝のお皿)が直接ぶつかっている状態です。
そのため無理に歩こうとしたり運動を行ったりすることによって、ますます骨が擦れて痛みが激しくなることが予想されます。
膝に痛みを感じる動きはできるだけ避けて、安静に日常生活を送る程度の動作に限って動く程度にしてください。
特に正座やあぐらなど直接床に座ること・和式トイレの使用・布団の上げ下げといった行動は、膝関節への負担が大きくなりますので、避けたほうが安心です。

変形性膝関節症かも?

変形性膝関節症の兆候としては、毎朝ベッドから起き上がろうとするときに「なんだか膝に鈍い痛みがあるように感じる」、「膝がこわばったような感覚で、重たい感じがする」という違和感を感じる方が多いです。
初期の頃は違和感を感じて少し休むと痛みがひいたように感じますので、「疲れがたまっていたのかな」とあまり問題視しない方がほとんどです。

徐々に症状が進行してくると、しばらく休憩しても膝の重くて怠い感覚が引かず、「膝の痛みが慢性化している」、「痛みが強く、階段の上り下りに手すりが必要」と感じる方が増えてきます。
すり減った軟骨の欠片が原因で関節の内部で炎症が起こるため、痛みに加えて見た目の変化が生じます。
具体的には関節の内部で生じた炎症による膝のほてり感、炎症に対して身体が分泌する関節液が原因の膝の歪みなどが代表的な変化です。
その他にも軟骨が薄くなり骨同士の擦れによって、歩く度にきしむような音が気になりはじめる患者様もいらっしゃいます。

変形性膝関節症は、自然治癒が見込めない病気です。
そのため上記のような違和感に気付いた際はすぐに病院を受診し、膝の状態を医師の確かな知見で診断してもらうことが大切になってきます。

自分で改善する方法

自分で改善

変形性膝関節症は、膝の軟骨が加齢や筋肉量の低下によってすり減ることによって発症する病気です。
残念ながら膝の軟骨を医療以外で解決する方法はありませんが、筋肉量の低下を防ぐための適度な運動習慣は、自分で変形性膝関節を改善する方法として一定の効果が期待できます。
具体的には1回30分程度のウォーキングや、膝への負担が軽い水中ウォーキングなどを習慣化して、筋肉量の維持という観点から変形性膝関節症の改善を目指しましょう。

また膝への負担を軽減するという観点から考えると、ご自身の体重を適正に保っておくことも、変形性膝関節症に対する非常に有効な予防策になります。
膝にかかる体重を少しでも軽減することによって、軟骨がすり減る物理的な負荷を取り除くことができますので、先ほどご紹介した運動習慣に加えて、食生活も意識していきましょう。

変形性膝関節症の治療方法

薬物療法

薬物療法

変形性膝関節症の初期症状が出現している段階では、まずは膝関節の炎症を抑えることを目的として、薬物療法が有効とされています。
変形性膝関節症に対する薬物療法は、外用薬・内服薬・注射の3種類に分類することができます。

外用薬

変形性膝関節症のごく初期段階では、膝関節に塗り薬や貼り薬を一定期間使用します。
薬剤に含まれる有効成分が膝関節の内部に働きかけることによって、炎症によるほてりを落ち着かせたり、痛みや腫れを抑制する効果が認められています。

内服薬

内服薬で変形性膝関節症にアプローチしていくなかで処方されることの多い薬の一つが、アセトアミノフェンです。
解熱鎮痛剤としての知名度もあるアセトアミノフェンは、膝関節部分の炎症を抑え、痛みというストレスを軽減してくれます。
またNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という内服薬も、炎症部分に対して有効に作用することが認められており、変形性膝関節症の初期段階で処方されることの多い内服薬です。

アセトアミノフェンやNSAIDsでは十分な効果を感じられない段階になると、オピオイドという強力な鎮痛作用をもつ内服薬を処方するケースもあります。
また近年では症状に応じた漢方薬を処方する医院も増えてきています。

注射

注射

膝関節に対して直接的かつピンポイントにアプローチする方法として、ヒアルロン酸注射やステロイド注射という手段もあります。
ヒアルロン酸注射はヒアルロン酸が持つ弾性や粘性が膝関節の潤滑油として機能するように、またステロイド注射は高い抗炎症効果を直接膝関節内に届ける方法として選択されます。

手術

ご自身での対策や薬物療法を行っても変形性膝関節症の症状が緩和されないと、手術という選択肢が次の治療法の候補になります。
変形性膝関節症の手術方法としては、以下の2つの方法が選択肢になります。

  • 骨切り術……自分自身の関節を温存する手術。関節温存手術とも呼ばれる。変形や摩耗が進行した部分の骨を一部分切除して、骨同士が擦れないように調節する。
  • 人工関節置換術……膝関節を人工関節に置き換える施術。全ての関節を人工のものにする人工膝関節全置換術と、一部分の関節のみ人工のものにする人工膝関節片側置換術がある。

再生療法

変形性膝関節症における最新の治療法として注目を集めているのが、再生療法です。
変形性膝関節症に対する再生療法は、患者様自身の血液のなかから血小板に含まれる自己免疫成分を取り出し、膝関節に注入するPRP療法と呼ばれる治療法があります。
ただし、その治療に関しては血小板成分を含むために、注入後に治癒過程での痛みが生じることがあると言われています。
当院では、PR療法と同等の効果が認められている、PFC-FD療法と言う治療を導入しており、注入後1ヵ月以上の経過とともに、膝の状態が改善してくることが期待できます。

当院の膝関節症治療(PFC-FD療法)はこちら