10時間以上寝ないと疲れが取れないのは睡眠障害?
「毎日10時間以上寝ないと、日中の眠気がすごい」
「10時間以上眠れなかった日は、体調が悪い」
本人に怠けようという意識は全くないのに、正常な日常生活を送るために毎日10時間以上の睡眠時間を必要としている方々がいます。
忙しい現代社会において毎日10時間の睡眠時間を確保することはとても難しく、日中の眠気や体調不良に悩まされている方が多いという現状があります。
目次
長時間寝てしまうのは睡眠障害?
ロングスリーパーと過眠症の違い
改善する方法
長時間寝てしまうのは睡眠障害?
厚生労働省では、一般的な成人に必要な睡眠時間は6時間から9時間程度としています。
この基準よりも長め、つまり1日10時間以上の睡眠を必要とする人々の事を、
国際的にロングスリーパー(長時間睡眠者)として定義しています。
ロングスリーパーは睡眠障害の一種に位置づけられており、中枢性過眠症というカテゴリーの中でも、孤発症状あるいは正常範囲の異型として分類されています。
しかしながらロングスリーパーは一定時間以上の睡眠をとることさえできれば、日常生活に支障をきたすことはありません。あくまで体質的な要因に起因する症状ですので、
病気として治療対象に分類すべきなのかという点に関しては、広く議論が続けられています。
ロングスリーパーと過眠症の違い
ロングスリーパーは、原因はよく分かっていないものの毎日10時間以上寝ることができれば、日中の行動において影響ありません。
人口の2%程度がロングスリーパーとしての体質を有しているとされており、遺伝的な要因があることも指摘されています。
一方の過眠症(特発性過眠症)は、ロングスリーパー同様に長時間の睡眠をしてしまいがちですが、どれだけ眠っても日中の眠気が残ってしまいます。
例えば夜に12時間程度の睡眠をとったとしても、日中に居眠りをしてしまったり、ぼーっとしていて仕事や勉強に身が入らないという症状に悩まされています。
ロングスリーパーや過眠症の他にも症状が似ている病気としては、睡眠不足症候群やクライネ-レビン症候群(反復性過眠症・周期性傾眠症)などが挙げられます。
日々の生活のなかで「10時間以下の睡眠では耐えられない」、「とにかく寝ないと日常生活が送れない」というような悩みを抱えている場合は、
一度、睡眠外来で医療機関に相談することによって、自分がロングスリーパーであるのか、特発性過眠症であるのかなどの診断をつけることができます。
病名が分かることで毎日の過ごし方を意識的に変えていくこともできますので、睡眠に関して悩んでいる場合は一度、医師に相談してみましょう。
改善する方法
ロングスリーパーでお悩みの場合、現時点では睡眠時間を短くしても眠気を抑えることができるような薬は開発されていませんので、
有効な医学的治療法は見つかっていません。可能な限り日常生活を調整しつつ、睡眠時間を確保していくことが唯一の改善策です。
また直接的な改善策ではありませんが、周囲の方にロングスリーパーであることを理解してもらうことによって、日常生活が少し送りやすくなることもあります。
特に家族に対しては医師が専門知識に基づいて詳しくロングスローパーという体質について
紹介することもできますので、必要に応じて医療機関に相談してみましょう。
記事監修者
リブ再生クリニック
院長 住吉 公洋
【経歴】
- 某国内一部上場企業に入社、研究開発に関わる
- その後、人に寄り添いながら人の役に立ちたいと医療の世界へ、岡山大学医学部で学ぶ
- 2005年 初期臨床研修
- 2007年から岡山大学病院麻酔科蘇生科及びその関連病院勤務
- 手術麻酔や集中治療、救急医療等にたずさわり、人の命の重さや、さまざまな困りごと悩みごとと向き合う
- その間、夜間救急外来での診療や、美容皮膚科・美容外科クリニックでの診療を経験
- 長く勤めた中四国を離れ、北海道の病院、東京・大阪の心療内科クリニック勤務
- 2021年、自身の求める「"より幸せに生きたい"という願いを支援する診療」の実現へリブ再生クリニック開院