ナルコレプシーとは?

辛そうな私服男性

ナルコレプシーは、日中に異常な眠気に襲われ、自分では制御できないほどの状態に陥ってしまう睡眠障害です。ナルコ(Narco:眠り)とレプシー(Lepsie:発作)という単語からなる病名で、最も代表的な症状は、日中の強い眠気と繰り返す居眠りです。特に居眠りに関しては、1回20分から30分程度の居眠りを、2~3時間おきに繰り返します。食事中や歩行中など、普通では考えられない場面でも発作(自動症、自動行動)が起こってしまい、周囲の人から「怠けている」と勘違いをされることもあります。また一時的な筋力低下(情動脱力発作)や夜間熟眠障害、入眠時幻覚、睡眠麻痺といった症状を併発する傾向があります。

原因

ナルコレプシーは、遺伝性の病気ではないものの、ナルコレプシーになりやすい体質の方(オレキシンという神経伝達物質が異常に少ない方)が、頭部外傷・手術・大出血・睡眠不足・ウイルス感染などの大きな身体的・社会的ストレスなどの環境因子による影響を受けた時に発症すると考えられています。オレキシンは、脳を覚醒させる作用と、睡眠中枢を抑制する作用を持ってます。しかしながらナルコレプシーの患者様の脳脊髄液を調べると、オレキシンの量が異常に少なく、死後脳の検査においてはオレキシンを産生する神経細胞そのものが消失していることが分かっています。なぜナルコレプシーの患者様の脳からオレキシンを産生する神経細胞が消失するのかについては、まだ原因が分かっていません。

治療法

ベッドで目覚める女性

長期(3か月以上)にわたって毎日耐え難い眠気や居眠りがあり、睡眠時の異常がない場合、検査で診断が下りると、医師の指示の下でナルコレプシーの治療を開始することになります。

非薬物療法としては、夜間に正しい睡眠がとれるように生活習慣や就寝環境を整えること、計画的な昼寝の時間(10分から30分程度)を確保する治療法が有効です。
また日中の眠気を緩和するために、精神刺激薬という脳の覚醒を高める薬を用いることも、有効な薬物療法の一つです。日中の脳を覚醒させることができる治療薬になりますので、日中の覚醒と夜間の就寝リズムを整えることができます。
さらに、ナルコレプシーによって情動脱力発作(笑ったら力が抜ける)が見受けられ場合には、三環系抗うつ薬やSNRI、SNRIという種類の抗うつ薬を用いて、治療を行います。

対処法、普段気を付けること

ナルコレプシーは「居眠りをしているように見える」、「さぼっているように見える」という特性から、周囲も本人も「やる気がないんだ」と思いこんでしまい、受診まで至らないケースがあります。
しかし、ナルコレプシーは神経伝達物質の不足によって発症する病気ですので、医師の指導の下で正しく治療を受けなくては、改善しません。日中の異常な眠気に悩んでいる方は、ぜひ一度、睡眠外来などを受診して、専門の医師による詳しい検査を受けてみることをおすすめいたします。