概日リズム睡眠障害とは?

憂鬱そうな中年の男性

体内時計のズレにより社会活動において、適切とされる睡眠をとる時間から大きくずれてしまったものを概日リズム障害といいます。大きく分けて3つに分かれます。日中の倦怠感や集中力低下などの心身の不調が現れ、生活の質が低下します。

夕方から強い眠気が生じ、深夜には覚醒してしまう早寝の“睡眠相前進型”
深夜にようやく寝付き、昼過ぎに覚醒してしまう夜型の“睡眠相後退型”
体内時計が24時間周期に同調しなくなり、入眠・覚醒時刻も日々遅れる“フリーラン型”
の3つに大きく分類されます。

どのタイプも、睡眠時間帯が日中や社会活動中にずれこんでしまうと、強い眠気、集中力低下、倦怠感などに苦しみます。夜勤や交代勤務など、多様化する働き方によっても起こり得る障害です。社会生活や学校生活が困難となることが多いため、早期の診断と適切な治療が必要となります。

原因

元々人間の体内時計の周期は、25時間程度となっています。そのため、地球の自転周期である24時間とは多少のズレがある状態なのですが、このズレを、太陽光・食事・運動などの刺激に触れることで、自然に修正しています。しかし、海外旅行や夜間勤務などといった人為的・社会的な理由で体内時計を無視した場合は、体内のリズム調整機能と、外界の環境周期が同調できなくなってしまい「外因性概日リズム睡眠」を発症する原因になりかねません。また「内因性概日リズム睡眠」の場合は、睡眠相前進/後退型とも呼ばれ、人為的・社会的な要因がないにも関わらず、体内のリズム調整がうまくできない状態です。特に高齢者が発症しやすい極端な早起きは、睡眠相前進症候群に該当します。

治療法

概日リズム睡眠障害が疑われる場合は、医師による問診と、場合によっては睡眠日誌や活動量計を用いる一日の体動量変動の調査などを行います。これらによって、睡眠と覚醒のパターン・睡眠障害の判断・概日リズム睡眠・覚醒障害であればどのパターンに当てはまるか、などを判断し、治療の方針を決めていきます。具体的な治療法は、以下の通りです。

①薬物治療

お薬の処方

概日リズム睡眠障害における薬物療法では、メラトニン受容体作動薬を処方されることがあります。メラトニン受容体作動薬は、「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、自然な入眠を誘うメラトニンの分泌を促す治療薬で、睡眠と覚醒のサイクルを調整します。また概日リズム睡眠障害の症状によっては、一時的に睡眠薬を併用して、睡眠のリズムを整えていくこともあります。

②高照度光療法

朝の寝室

高照度光療法は、毎日決まった時間に人工的な高照度の光を浴びる治療法です。一般的には朝の時間帯に高照度光療法を行い、就寝前に、メラトニン受容体作動薬を服用するという治療法の組み合わせを行う場合が多いです。

③生活習慣・生活リズムの改善

目覚めたばかりの男性

概日リズム睡眠障害において、日頃の生活を見直すことはとても大切です。特に就寝と起床の時間を定め、暗い環境で就寝することは、質のよい睡眠のための絶対条件といえます。また起床時には朝日、もしくは人工の光を浴びることも忘れてはいけません。生活習慣や生活リズムを意識しても、一朝一夕で効果が発揮されるわけではありませんが、少しずつ改善していくことが大切です。

対処法、普段気を付けること

生きていく上で必ず必要な行為の一つが、「睡眠」です。そのため、「もしかして、概日リズム睡眠障害かも」と悩んでいる場合は、なるべく早く医師の診断を受けて、治療法を確認する必要があります。また、毎日決まった時間に就寝と起床すること、朝日を十分に浴びること、夜遅くまでスマホやパソコンを使用するのは控えることなどを、普段の生活のなかで意識していくことも大切です。医師と相談しながら、睡眠のためのよりよい環境を整えることを意識していきましょう。