ムズムズ脚症候群とは?
入眠時に足やまれに腕に「むずむずする」「虫が這う感じ」などの不快感や痛みの異常感覚があり、入眠困難を特徴とします。中年期以降でよくみられます。
原因
ムズムズ脚症候群の原因として最も大きな要素は、遺伝的要素であると考えられています。一説では、ムズムズ脚症候群の遺伝的要因は6割程度とされており、実際に多くの患者様に家族歴があります。これは神経伝達物質の一つであるドパミンの経路に障害が起きていると考えられており、家族が遺伝的要因でムズムズ脚症候群を発症している場合は、「特発性ムズムズ脚症候群」と呼びます。ムズムズ脚症候群は特に女性に発症率が高いことがわかっていますので、お母様やおばあ様にムズムズ脚症候群の罹患履歴がある場合、患者様本人も特発性ムズムズ脚症候群の可能性が高いと考えられます。一方の「二次性ムズムズ脚症候群」と呼ばれる症状の場合は、鉄の欠乏・慢性腎不全の影響・抗うつ薬や抗精神病薬による影響などが、原因とされています。二次性ムズムズ脚症候群の場合は、脚の不快感を解消する治療と同時に、原因となっている疾患に対してもアプローチをしていくことが大切になります。
治療法
ムズムズ脚症候群の治療においては、脚の不快感を改善し、それに伴う不眠を解消することを目的として、医師が治療計画を作成します。
まず一番初めに行うのは、脚の不快感の原因となっている嗜好品や薬物に関する指導です。例えばカフェインには、脚の不快感を強くする作用と、眠りを浅くする作用があることがわかっていますので、カフェインの摂取は控えるような指導を行います。カフェインのほかにもアルコールやタバコなども、ムズムズ脚症候群の症状をお落ち着かせるためには、摂取量の調整が必要です。また二次性ムズムズ脚症候群と診断された場合は、十分な鉄分を摂取することができるように鉄剤を処方したり、腎不全の治療をおこなったりします。これらの治療によっても症状が改善しない場合は、ムズムズ脚症候群の原因である神経物質のドパミン関連の治療薬、もしくは自覚症状を軽減させる効果のあるセルベンゾジアゼピン系薬物、抗けいれん薬などの薬物療法を行います。
対処法、普段気を付けること
ムズムズ脚症候群は、脚の不快感が耐えがたいのはもちろんのこと、質の良い睡眠がとれなくなってしまうことによって、日中の眠気や疲労感など、日常生活に多大な影響を及ぼします。
そのため、「ムズムズ脚症候群かも」と思ったら、なるべく早期に睡眠や不眠の専門外来に相談する必要があります。
特にムズムズ脚症候群は、適切な薬物治療を行うことで、9割以上の患者様において症状の改善がみられたという報告もあるように、医師の正しい指導によって症状の改善がみられる疾患ですので、ご安心ください。
また就寝前のカフェインやアルコールの摂取、喫煙の習慣を見直し、積極的に鉄分を摂取する習慣をつけるなど、日々の生活のなかからも、改善すべき点は改善していきましょう。